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金沢「人と猫の共生を目指すシンポジウム」のご報告とレジュメ

                                      2012年7月10日
                                  THEペット法塾代表
                                   弁護士  植 田 勝 博

  平成24年7月8日、下記集会、シンポジウムが開催されました。
   名 称:絆−殺処分0を目指して!−
       人と猫の共生を目指すシンポジウム 2012 in いしかわ
   主 催:NPO法人猫の避妊と去勢の会

 山野之義金沢市長の挨拶がされ、その中で平成18年が犬引取数66匹、内譲渡21匹、殺処分46匹。猫引取数636匹、内譲渡31匹、殺処分605匹。これが平成23年では犬引取数30匹、内譲渡13匹、殺処分17匹。猫引取数287匹、内譲渡60匹、殺処分227匹と引取数、殺処分数ともに大幅に減った状況の説明があり、今後更に零に向って頑張っていかれるとの力強い挨拶をいただきました。
 なお、私の基調報告と資料(A4、54枚)の内基調報告の配布がされませんでしたので、次に掲載致します。(なお、詳細は、発行責任者植田勝博の「動物法ニュース」に順次掲載をしていきます。)


          2012、7、8 金沢シンポジウム レジュメ
            「殺す行政から生かす行政へ」

                                   弁護士  植 田 勝 博

第1 動物を排除・駆除する社会・行政の殺処分の状況
1 日本の動物をめぐる状況
  @ 商品として生産、販売し、要らなくなればゴミとして行政が引き取り、殺処分、焼却。
  A 不要となったペットは保健所に持って行き、殺処分。
  B 鳴き声、糞尿、ものや庭を汚されたとして、迷惑・被害を受ける動物は保健所に持って行き、殺処分。
2 日本社会の動物問題の処理
  犬ねこは、従来、年間50万匹余が行政で殺処分され、現在もなお20万匹余りが殺処分されている。
  野良ねこ、宮島しか、野生動物への餌やり禁止や駆除、農作物を荒らすサルなどの駆除、口蹄疫の牛の殺処分
 (信憑性はあるが治癒率は
  95%〜98%)、人に危害が加わる可能性のある熊などの駆除殺処分。
  実験動物、産業動物は、動物愛護法の外に置かれて、おびただしい数の動物達が物として利用され廃棄される。
  動物の絶滅、南極観測で有名な樺太犬は、キタキツネの伝染病が樺太犬を通じて人にも伝染する可能性があるとして
  樺太犬の殺処分をした結果、現在、2匹の12才の樺太犬のみで、絶滅。

第2 動物の処分をめぐる法律問題
1 35条行政の取引義務(1項所有者、2項所有者不明)
  行政の取引義務・殺処分の法的問題。
 (1) 動物愛護管理法の基本原則に反する。
   「動物の命」と「人と動物の共生」(同法2条)
 (2) 人倫ないし日本の宗教感覚としての共生に反する。
 (3) 地方自治体の条例:「やむを得ない理由があるとき以外は引き取らない。」(資料)
 (4) 環境省告示(平成18年1月20日環境省告示第26号):「犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関
   する措置」、
 「この引取り措置は、緊急避難として位置づけられたものであり、今後の終生飼養、みだりな繁殖の防止等の所有者
 又は占有者の責任の徹底につれて減少していくべきものであるとの観点に立って、引取りを行うように努めること。」
 (昭和50年7月16日総理府告示第28号)「犬及びねこの飼養及び保管に関する基準」において、「犬又はねこの
 所有者は、家族同然の愛情を持って終生飼養するように努める」
2 遺失物法違反
  @ 所有権侵害(憲法財産権侵害)、A警察の扱いとの差、B遺失物法(5日〜10日で殺処分)
3 狂犬病予防法違反
  @ 違法な殺処分、A法の目的に反する。
4 人類と動物の共生
 (1) 共生の意味
    共生とは生き物同士(人と他の動物)のケンカもある。害獣とは動物も生きることに必死である。迷惑を理由に
   殺処分は許されるか。
 (2) 棲み分け、利益と争いの関係性
    協力、食糧、使役動物、環境の競合→人類の独占と他の動物の排除絶滅の危惧、他の動物を利用、排除すること
    の限界。
 (3) 他の動物を排除して、人間の存在は成り立たない。

第3 捨てねこ・ねこ餌やり問題
1 社会の現状
 (1) ねこ餌やり、(2) 野良ねこによる社会の迷惑・排除
 (3) 行政の役割 全てをゴミとして殺処分(「殺す行政」)
    ブリーダー(生産)、ペットショップ(販売)、消費者(消費)、最後はゴミ
2 ねこ餌やりとは
 (1) 動物の命を救う。
 (2) 個人的活動と社会の無理解
3 社会と行政の役割(所有者のいない動物に対して)
  行政政策(殺処分か、保護するか)。
  社会は(排除するか、愛護義務か)。
4 従来のねこ餌やりについて
 A ねこ餌やり:動物の命の守ること、動物を生かすこと。それは、人倫にも合致し、動物愛護法の基本原則に沿う。
 B 社会;ねこ餌やりは迷惑・被害であり、攻撃をし対立をする。
   加藤将棋元名人判決(東京地裁立川支部2010、5、13 判決)近隣被害者への損害賠償義務。条例の規制の例、全国
   各地の動き。
 C 行政:動物愛護法35条の引取義務によりゴミとして殺処分。
5 問題解決の指針       
 (1) 殺さねば解決をしないことか。
 (2) 迷惑を理由に、駆除・殺処分、撲滅は許されるか。
 (3) 問題解決のための他の方法はないか。
    今生きているねこは生かす。不幸なねこを生まない。「地域ねこ活動」「TNR」などの活動。
6 野良ねこ等所有者のいない動物についての、行政、社会、国民の保護義務
 (1) 行政の引き取らない動物
    各地行政の、@飼主の飼養義務、引き取り拒否、A地域ねこ、BTNR、C公園ねこなどへの支援の取り組み。
 (2) 行政と国民の愛護義務、協力義務
   「動物の命」「人と動物の共生」は普遍性、倫理観。1人ねこ餌やりの責任とし、社会の迷惑として排除すること
   (遺棄か殺処分)は、人倫、動物愛護法に違う。

* 大阪市「公園ねこ適正管理推進サポーター制度」の例
  実施要綱(H23.2.22)
  サポーター制度の内容と意味:行政が、社会、ねこ餌やり者などと連携して、野良ねこの命を守り、
  共生する社会を創る。
  第1条 公園ねこの適正管理及び匹数の減少を市民との協働及び市民の相互理解のもとに行う。
  第2条 生命を尊重しながら公益にもとづいた適正な管理を行うサポーターの活動を育成する。行政・地域・利用者
      の理解と協働による取り組みを推進
  第3条 公園内に生息する所有者が不明なねこ
  第4条 公園ねこ適正管理推進サポーターとして認定。
      振興町会、自治会など、地域住民を代表する団体を通じて地域の了承を得る。
  第5条 活動内容は、避妊去勢手術の実施による繁殖防止及び匹数の減少。
  第6条 ねこを命あるものとして取り組む。責任をもって適正管理を継続的に実施する。
      サポーターであることを明治。
  第7条 公園管理者による連携、動物の遺棄・虐待の防止及び防止にかかる啓発活動に取り組む
  第8条 研修
  第9条 公園事務所長及び実施団体は、市民協働及び市民相互の理解によって取り組む。
  第10条 担当課長及び公園事務所長は、公益法人、NPO法人、その他の動物愛護管理に関係する団体に必要な
      協力を求める。
     (以下略) 

金沢シンポジウムの御案内

          殺処分0(ゼロ)をめざしてー
      「人とねこの共生を目指すシンポジウム」
          2012 in いしかわ   ★金沢シンポジウムご案内★

 金沢「人とねこの共生を目指すシンポジウム」が下記の通り開催されます。
 皆様のご参加をお願いいたします。
1 日時 平成24年7月8日(日)、12:30〜17:00(開場12:00)
2 場所 ITビジネスプラザ武蔵6階交流室1・2(めいてつ・エムザ内)
  金沢市武蔵町14番31号 <アクセス>JR金沢駅東口から徒歩10分、バスで2区間(武蔵ヶ辻下車)、
  タクシーで3分
3 基調講演/「野良猫などの所有者のいない動物についての行政の保護義務および国民の愛護義務」
         植田 勝博(THEペット法塾代表、弁護士)
       「磯子区発 いのちにやさしい街づくり」
        黒澤 泰(神奈川県横浜市港南福祉保健センター獣医師)
  パネル  / 高木 優治 (東京都新宿区保健所)
  ディスカッション  細川 敦史 (THEペット法塾、弁護士)
        工藤 久美子(NPO法人ねこだすけ代表)
        中川 こうじ(写真家)
        黒木 克史 (石川県獣医師会開業部会長)
        植田 勝博(THEペット法塾代表、弁護士)
        黒澤 泰(神奈川県横浜市港南福祉保健センター獣医師)
  申込先 / 下記E-mailまたはFAXに「シンポジウム参加希望」と明記し、
        @お名前A電話BメールアドレスC参加人数をご記入の上、お申込み下さい。
        [E-MAIL]cat-imai@kib.biglobe.ne.jp、[FAX]076-238-2106
* THEペット法塾は金沢シンポジウムを支援致します。
* 植田講演要旨、@動物愛護法35条行政の取引義務・殺処分の法的問題。「動物の命」と「人と動物の共生」の基本
  原則に反する。A人類と動物の共生の意味。B捨てねこ・ねこ餌やりの意味と問題解決の指針・具体的方策


 

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